8.8.寺田光男物語〜『あぁ いいな!』/『乙女の携帯電話の秘密』〜




 

Wにとって初のオリジナル楽曲がいよいよドロップ間近となってきた。
「あぁ いいな!」はすでにドラえもんのエンディングとしてお茶の間に流れ
子供達の間にも浸透し始めている。
ハロプロコンでも披露され、曲が始まった瞬間に会場中をW色に染めてしまう
圧倒的なスケール感で見るものを魅了した。
ドラえもんで初めて流れた時は賛否両論巻き起こった曲であったが、
Wの2人が生で披露した後は、否定的な意見も影を潜めた。

Wが世に送り出す初のオリジナル曲。私の期待もかなりのものであった。
すべてカバー曲で構成されていた「デュオU&U」があそこまで素晴らしい作品であったために
いつしかその期待は不安へと変わっていた。
Wの2人に不安などは一切ない。寺田だ。光男だ。
Wの未来にとって唯一の不安は寺田光男のみ。
彼が「デュオU&U」を超えるものを作れるのか?その不安が日増しに強まっていった。
とにかく足を引っ張ってくれるな、無理なら言ってくれ、場合によってはずっとカバーでもいいぞ、
そう思ったこともあった。

結論から言おう。
光男は頑張った!男になった!

2004年の寺田は、Wと素晴らしい作品を作り上げるということが最大の使命であった。
Wの初オリジナル曲、ここに照準を合わせて彼が2004年を過ごしているのは明白であった。
松浦亜弥、後藤真希のシングルを外注したのも、彼がWに集中するためには仕方の無いことであったし、
メロン記念日がカバー曲をシングルとして発売させられた事もその煽りと言える。
毎年恒例のシャッフルも「すまん!今の俺はWでいっぱいいっぱいや!」という
光男の苦しい嘆きにより中止になったということは知る人ぞ知る事実である。
そんなプレッシャーまみれの光男にとって、唯一の息抜きになったのが「Berryz工房」だったのであろう。
なんのしがらみもなく自由に曲を作れるベリーズでは彼本来の持ち味がうまく出ていた。
ベリーズ作品を作ることによって光男が本来の寺田光男に戻れたのかもしれない。

「恋のバカンス」「デュオU&U」とカバーからスタートしたのも、彼が自らに与えた試練だったと言える。
過去の名曲+W。アレンジもほぼ原曲通りで、光男はほぼ何もしていないと言っていい。
光男が何もしなかった作品があそこまで素晴らしい作品となって世間に受け入れられたのだ。
Wのオリジナル楽曲を作るだけでも大変な試練であったが、「デュオU&U」の成功という
新たな十字架をも背負うことになってしまった。
「Wには寺田は関わらない方がいいんじゃない?」そんな声が彼の耳にも届き始めていた。
そして追い討ちをかけるように、Wの2人が自ら作詞作曲したいと発言し始めたのである。
光男にとってこの発言はナイフを首に突きつけられたようなものであっただろう。

6月の中ごろ、夜中に光男が一人でうろついてる姿が良く目撃されていた。
精神的に参ってしまいノイローゼになりかかっていた彼を見て周りのスタッフが
かなり心配していた。
ちょうどこの頃作った作品が「恋のテレフォンGOAL」だったらしい。
あの奇妙な振りは当時の光男の動きをリアルに再現したものだと夏まゆみも語っている。

いっぱいいっぱいになりノイローゼ寸前まで追い詰められていた光男。
しかし、そのクレイジーになった事が逆に彼が奇跡を生んだ要因となった。
ミュージシャンがスランプに陥った時にドラッグに走り、トリップした状態で
素晴らしい作品を作り出すことが良くあるが、光男もまさにそれである。
彼が敬愛するビートルズやストーンズと同じ道を彼自身も歩み、
プレッシャーから開放されたのである。

「あぁ いいな!」で「浮いている」と言われる「なまず部分」。
通常の精神状態では思いつかないトリッキーなあの展開は彼の精神状態によるものであり、
あの歌詞自体も彼の魂の叫びなのである。
一聴した時には違和感を感じるが、聞けば聞くほど不思議とあの部分がないと物足りなく感じて来る。
当時の光男は自らを「なまず」と呼んでいたと言う。
「俺はなまずや。俺にはウロコがないんや。なまずのひげは舌と同じ機能があるんや!」
と意味不明な発言を繰り返していたらしい。
加護ちゃん辻ちゃんがあの部分に心を打たれているのも、
悩み苦しむ光男の姿を間近で見ていたからなのであろう。
「なまずはウロコがなーい!」
限界を見た男にしかかけない奇跡の歌詞。光男の魂の叫びが詰め込まれている。


カップリングに収録されている「乙女の携帯電話の秘密」。
「あぁ いいな!」で壁を乗り越えた光男が本来の自分を取り戻し、リラックスした状態で
作ったのがこの曲だ。
光男の持ち味である爽やかなポップスに仕上がっている。
「あぁ いいな!」のように情念とも呼べる凄みは感じないが、
呪縛から解き放たれた光男がWと素直に向き合って作り上げた良さが存分に出ている。
大袈裟なアレンジは無く、2人の歌声を素直に聞かせる作りになっていて
十分満足できる曲である。

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とオープニングから単語の羅列が続く歌詞は、聞き方によって光男の幻聴風味が程好く感じられるが
Wの2人が歌うことによってとても爽やかな歌詞に聞こえてくる。
携帯電話の中に収められているメールや写真についてかわいらしく歌っているその歌詞は、
加護ちゃんと辻ちゃん2人それぞれの五期メンバーとの思い出を歌っているように聞こえてくる。
私たちファンにはあまり伝わってこなかった加護ちゃん辻ちゃんと5期メンバーの関係。
モーニング娘。の中で末っ子的立場であった2人にとって初めて同年代の仲間となった5期メンバー。
3年間というちょうど中学時代と同じ期間を一緒に過ごした仲間達とはたくさんの思い出があるだろう。
卒業のステージでは、言葉を交わす場面はなかったが、それゆえに私達が思う以上に
2人との間には深いものがあるのではないかと思えてくる。
同年代の友達と別れる時に面と向かって別れの言葉を言うのは照れくさいものもあるだろうし、
言葉では言い表せないものもあるだろう。
本当の意味で友達関係となった5期メンバーとの思い出をこの曲で歌っているように今の私には聞こえる。
今までだったら、加護ちゃんと辻ちゃん2人の思い出について歌っていると思ってたハズだが、
卒業式を終えた今、2人にとって5期の4人はとても大事な存在だったんだろうなと気づかされた。
今はもっと2人と5期メンバーの絡みを見たかったなぁとガラにもなく思ったりする。遅いよピストル。
そんな気分にさせられる曲である。


10月にはWとしての第3弾シングルが発売される。
本来の姿を取り戻しつつある寺田光男。
今は不安はなく期待しかない。
Wという無限の可能性を持つスーパーデュオに命を張ってぶつかろうとしている今の光男なら
間違いなくやってくれるハズだ。
頑張れ光男!!限界まで突っ走れ!!
そして、限界が来たら素直に加護ちゃんに作詞はバトンタッチするのだ!!








今日は遂に神宮花火大会!!
アリーナ最前で見てくるぜぇい!!!

ピス隊員の格好まんまで参戦じゃぁぁあああ!!


加護ちゃん待っててねぇ〜!!!