1.20.「恋のフーガ」と海外進出



恋のフーガ/W(2月9日発売)





昨日、待ちに待っていた例のブツがボスから私の元に届いた。
「ロボキッス」リリース以来、実に3ヶ月ぶり。
Wの2005年一発目の音源である。
昨日どこかのラジオでタイミング良く流れたらしいので、
そのラジオ局も届いてすぐに流したと思われる。
全世界の注目が集まってる楽曲なので局としても必死なのであろう。

(イメージ画像ですw)


「あぁ いいな!」「ロボキッス」とオリジナル曲を続けてシングルとしてリリースしていたが、
ここで再びデビュー曲「恋のバカンス」に続いてカバー曲でのシングルリリースである。
「恋のフーガ」はご存知ザ・ピーナッツのカバー曲で、Wがザ・ピーナッツの曲をカバーするのはこれで5曲目。
(c/w「ふりむかないで」で6曲目)
1つのアーティストの曲を短期間にここまで集中してカバーするケースは非常にめずらしく、
寺田氏の異常なまでの執念を感じる。

寺田氏が年頭に掲げていた目標は「日本のエンターティメントが世界の興味(夢や希望)となること。」 である。
ザ・ビートルズに憧れてミュージシャンを目指した寺田氏にとって「世界進出」というのは、
一度は叶えたい夢なのであろう。
日本である程度の成功を収めた音楽家であれば誰しもが思うことかもしれない。
最近では宇多田ヒカルの全米デビューが話題を呼んだが、日本での盛り上がりとは裏腹に
全米では惨憺たる結果で終わった。
マッド・カプセル・マーケッツやコーネリアス、ギターウルフなどはアンダーグラウンドでの人気までは獲得したが、
ポピュラーなラジオ局やTV番組で紹介されるほどのリアクションまでは得ていないし、
セールスという結果も出してはいない。
最近でメジャーな盛り上がりを唯一見せたのは「キルビル」での布袋ぐらいであろうか。

過去をさかのぼれば、坂本九の「スキヤキ」がビルボートのNo.1に輝いたり、YMOやラウドネスが
ビルボードのアルバムチャートにランクインした事もあった。
1963年に坂本九がビルボード1位を獲得した翌年の1964年にザ・ピーナッツも海外進出を始めている。
ドイツでレコードを発売したり、映画まで作っていたようだ。(こちらを参照)
日本での活躍も行ない人気を獲得しながらも真剣に海外での活動も行っていたようである。
1966年にはザ・ビートルズやローリング・ストーンズなど有名アーティストの登竜門的番組の
「エド・サリバンショー」にまで出演している。
当時、ビートルズもストーンズもバリバリ現役の時代で、そこに日本人の女の子2人組が
真っ向勝負で乗り込んで行ったわけだ。めちゃめちゃロックな話である。

おそらく寺田氏は、ただ単に日本で一番有名な女性デュオということだけでなく、
海外進出を本格的に行ったアーティストとしてザ・ピーナッツをリスペクトしているのではないかと思われる。
Wをザ・ピーナッツのように、日本のスターから世界のスターへと羽ばたかせたい、
その思いがここまでザ・ピーナッツのカバーに執着する理由なのではないだろうか。
ファンとしてはオリジナルで勝負して欲しいという気持ちがあるのも事実ではあるが、
どんな曲だろうとWの2人がカバーした段階で、それは2人の持ち歌となり、
オリジナルと呼んでも何らおかしくない作品になる事は「デュオU&U」で証明されているので、
私は定期的にカバーをリリースするこの作戦は大いに賛成である。

今、アメリカではアニメ番組を足がかりにPUFFYがブレイクする可能性が出てきているが、
ここはなんとしてでもWの2人に、1979年のピンクレディ以来26年ぶりとなる日本人アーティストの
全米TOP40入りを狙って欲しい。
寺田氏は全精力をかけてその野望を実現するために動いて頂きたい。
PUFFYに負けるわけにはいかない。寺田は寝る時間も惜しんで働け。


さてさて、なんだか前置きが長くなりましたが、肝心の「恋のフーガ」について。
出だしから2人の声にかなりエコーがかけられている事もあり、非常に妖艶な雰囲気を醸し出している。
オリジナルに忠実なアレンジで、アレンジ的には突飛な事はしていない。
サビの部分でバックの演奏のテンポが速くなるが、歌っている2人のリズムは変わらず、
きっちりと2人の歌声を聞かせてくれる。
2人の声が交互に絡み合うこのサビの部分が最大の聞き所で、辻ちゃんと加護ちゃんの声が
たたみかけるように連続して聞こえてくるだけで鈍器のような物で強く頭を殴られたような感覚を覚える。

私達のようにオリジナルを知っている人ではなく、この曲自体を一度も聞いたことのないチビッ子達が
この曲を聞いてどう感じるのか?
今、巷で流行っている曲や今までハロプロで歌われて来た曲とは異質のこの曲を
Wの2人が歌うということが、どれだけインパクトを与えるのか興味深い。
ただ単にナツメロ的感覚で高年齢者をターゲットにしているのではなく、
ある意味「未知なる物」として、オリジナルを知らない低年齢層へアピールした曲だと私は感じた。

「恋のフーガ」については、あとは歌っている姿を見てどう感じるかといったところだが、
問題はカップリングの「ふりむかないで」の方である。
「恋のバカンス」もカップリングの2曲の方が完成度は上回っていたが、
今回もWの魅力、実力がふんだんに溢れているのは間違いなくカップリングの方である。

この曲については、恒例の「加護右翼視聴会」にて後日に。