10.11.熱っちぃ地球の真ん中でさゆが叫ぶ 2005年の文化祭は誰が主役だったかと聞かれたら 私は即答で彼女の名を挙げる。 道重さゆみ。  三流脚本家が書いた三流エコ演劇。 「矢口真里卒業」を笑いのネタにし、それをメンバーにおもしろおかしく喋らせるという公開イジメ。 ミキティが「彼氏作って矢口のように早く勝組になりたい!」と言った直後に 麻琴は「負組でもいいからもう少しここに残る」と言う。 モーニング娘。を沈み行く船にでも例えたかのような自虐ネタ。 初めて聞いた時にはあまりの凄さに笑うしかないって感じで見てたけど、 隣りで見ていた生粋のやぐ推しが苦虫を噛み殺したような顔をしてたので我に返った。 さすがにこれはナイだろうと。一瞬でも笑ってしまった自分に後悔した。 そんな後味の悪い部分が頭に残る演劇ではあったが、彼女の演技に救われた。 エコモニ。に命を賭けている少女・道重さゆみ。 今までエコモニ。の彼女を見ている時は、別の新しいユニットがやれてうれしいんだろうなぐらいの 軽い気持ちで私は見ていた。 「エコモニ。」だろうが、「うさモニ。」だろうがなんだっていいんだろうなぐらいの気持ちだった。 しかし、彼女の『エコモニ。愛』はガチ中のガチだった。 軽い感じで進んで行くエコ演劇。その中で一人だけ真顔でエコを訴える。 それが台本に書かれてある「セリフ」だなんて彼女には関係ない。 演劇中にステージで喋る言葉すべてが彼女の魂の叫びなのだ。 他のメンバーの何倍もある長いセリフを自らの叫びとして観客に訴え続ける。 そこには一切の迷いもない。 彼女が求めてるのはみんなにエコを真剣に考えて欲しい。その一点のみである。 クライマックスのシーン。 さゆが観客に向かって地球の危機的状況を訴える。 時間にしておよそ2分。 2分間ノンストップで彼女1人が喋り続けるのだ。 私は「どこにカンペあるんだ?」と探そうとした。 こんな長いセリフをさゆが覚えられるハズないだろうと。 しかし、さゆはカンペなんて見ていない。 彼女の目は一点を見続けたまま動かないのだ。 カンペを読んでいるのなら目の玉が左右に動くハズ。 カンペなんて必要ない。それはセリフではなく 彼女の魂の叫びなのだから。 ナイチンゲールだ! 誰かがそう呟いた。 滅びゆく地球を救うために現代に甦ったナイチンゲール。 これだけ真剣な表情でエコロジーを訴えかける少女を私は他に知らない。 「とりあえずエコって言いたいだけちゃうん?」と思ってた自分を恥じた。 目の前の彼女に向かって土下座して謝罪したい気持ちになった。 その直後、吉澤さんが追い討ちをかけるように我々に向かってこう言い放った。 こんな事になったのはお前達のせいだ!! えぇぇぇ〜!!(観客全員) 徹夜して列に並び、何時間も待ったあげく、メシも喰わずにヘロヘロになりながら スタンディングでステージを見ている私達にまさかの「お前達のせいだ!!」。 泣きたくなった。なんだか理由はわかんないけど本当に悪いことしてる気がして その場から逃げ出したい気分になった。 ヲロヲロしてる私達に向かって、続けざまにナイチンゲールさゆみが語りかける。 みんな良く考えてください! 便利さや快適さを追求し続けたんです! 染みた。心の奥まで染みた。 ナイチンゲールに心まで癒された気分だ。 吉澤さんの一言でどん底まで落とされた私達に 「大丈夫、良く考えればまだあなた達は大丈夫!」とさゆがやさしく答えを導き出してくれたのだ。 ありがとう!さゆ!! 感動のフィナーレ。 「HELP!!エコモニ。の熱っちぃ地球を冷ますんだっ。」をメンバーみんなで歌う。 途中からエコモニ。の朋友でもある石川さんも登場し、エコモニ。オンステージに変わる。 石川さんは演劇部分には出てこなかった。石川さんが居ないのにエコモニ。が成立するなんて 今までは考えられなかった。 でも今なら言える。さゆこそがエコモニ。であると。さゆが居ればエコモニ。は永久不滅だと。  道重さゆみと言えば「うさちゃんピース」。 しかし、文化祭のステージ上でさゆは うさちゃんピースを封印した。 さゆにとって「うさちゃんピース」とはお客さんと コミュニケーションを取るための大事な手段である。 同期のメンバーよりも歌やダンスが上手くない事を さゆ本人は自覚している。 歌の途中でもお客さんとコミュニケーションを取りたい。 でも、歌やダンスの途中にそれをする余裕は彼女にはまだない。 そんな彼女が唯一観客と1つになれるコミュニケーション手段がうさちゃんピース。 彼女にとって命の次に大事なものだ。 そのうさちゃんピースを封印し、ステージに立った彼女。 観客がボードを出そうとも、うさちゃんピースを頭上に掲げようとも、彼女はやさしく笑うだけで うさちゃんピースはやらなかった。 「今日はうさちゃんピース無しで勝負する」彼女はそう決めていたのだろう。 そして彼女は会場中の人達の心をうさちゃんピース無しで掴むことに成功したのだ。 「うさちゃんピースを世界へ・・・」彼女が「ハロプロノート!」の中で書初めに書いた言葉。 「うさちゃんピースをすると、かわいくて幸せな気持ちになるので 世界の人々みんなにしてほしいデス。」 これがその理由である。 この日の会場にうさちゃんピースはなかった。 しかし、道重さゆみのうさちゃんピース魂は会場中、いや世界中に届いたハズだ。 LOVE&PEACE サユカイダとは 「推しメンは他にいるにも関わらず、 ライブ中のみ道重さゆみと戯れることを 楽しみに生き抜く者たち。」のことだ。 たぶんこの文化祭で 何人ものサユカイダがサユリストに 変わっちまったことだろう。 さゆに対して恋愛感情が芽生えた瞬間に そいつはサユカイダを追放され、 サユリストと呼ばれるようになる。 俺はサユカイダ。 まだまだ立派なサユカイダ。 うさちゃんピースが大好きで ちょっとお茶目な35歳。 俄然強めなサユカイダ。 LOVE&PEACE
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