12.13.彼女と彼女の事情


彼女は姫路から1人きりでこの学校にやってきた。
持って生まれた才能ですぐに学内でも勉強の成績は1位か2位。
そんな彼女に対して、周りのみんなはどこか遠慮がち。
本気で彼女と友達になろうとする人は誰もいない。
でも彼女は友達を求めてなかった。
クラスの友達と遊ぶよりも勉強で1番になる事の方が楽しい。
友達なんて必要ない、彼女はそう思ってた。

勉強もできるしルックスも抜群、彼女は学校の中で誰もが一目置く存在になっていた。
そんなある日、クラスに転校生がやってきた。
北海道の真ん中らへんからやって来たその子もクラスの中ではひとりぼっち。
クラスの中で浮いた存在であった彼女に対し、その転校生は普通に話しかけて来た。
いつしか彼女はその転校生を大事な友達と思うようになっていた。
今まで友達なんていらないと思ってた彼女に初めて出来た大事な友達。

年が明け、クラス替えの季節。
彼女とその友達は違うクラスになってしまった。
「クラスが変わっても友達にはかわらないよ。」その子は彼女にそう約束した。
でもその子には新しい仲間もでき、フットサルのクラブ活動も始めたため、
彼女と会う機会も徐々に減っていった。

友達なんてもういらない。大人になるんだ、もう泣かないさ・・・

彼女はひたすら勉強を続けた。
勉強のし過ぎで時には倒れる事もあるほど。
そんな彼女を心配した先生がある提案をした。
「半年間リフレッシュを兼ねてクラブ活動をしないか?」
彼女は戸惑った。
自分には一人きりで勉強してるのが一番合ってる。
誰かと団体活動するなんて似合わない。

「彼女達がこれから半年間の仲間だ、仲良くやるんだぞ。」

 

嫌だ!無理!彼女は泣いた、泣きわめいた。
先生に紹介された6人は自分とは住む世界が違う人達、
こんなへんちくりんな人達と半年間も一緒に行動するなんて
プライド高い彼女には許されなかった。

「お前がこのチームのキャプテンだ。」

キャプテン?団体活動自体が苦手な彼女、それがキャプテンまで務める事に・・・


何もかもが初めての経験。
生まれてから1度もやった事のなかった泥んこ遊びもやってみた。
学校が終るとすぐに塾に行かなければいけなかった彼女にとって
こんなに夜遅くまで遊ぶこと自体が初めての経験だった。
時間を忘れてみんなと一緒に遊んだ。
顔を泥だらけにして、ひざにスリ傷を作りながら夢中に遊んだ。

  

ちょっと背伸びして、股だって開いてみた。

 


仲間が転んで泣いてる姿を間近で見て助けてあげたいと思った。
自分が腰を痛めていても、みんなのために頑張りたいと思った。
今まで自分のためだけにやってきた彼女は、今初めてみんなのために
何かをしたいと思い始めていた。

「彼女変わったよね、一人で勉強してる方が彼女らしくていいのに。
あんな姿似合わない、かっこ悪い。」
そんな声も学校内で聞かれるようになったが、彼女にはどうでも良かった。
彼女は今、大切な何かをここで見つけたいと思っていた。
大人になってからじゃ手に入れる事のできない何かを、
彼女は今ここで手に入れようとしていた。

勉強のことなんて忘れて思いっきり遊んだ半年間。
その時間もとうとう終わりの時が来た。
彼女はこの日が来るのが嫌で嫌でしょうがなかった。
来年は新しいメンバーでこの活動が行なわれることも彼女は知っていた。
「また、来年もこのメンバーで一緒にやりたいよね!」
無理だと分かっていても彼女はみんなに毎日そう言いつづけた。
彼女の心からの願い。
最後の日もいつものように楽しくみんなと遊んだ。
思いっきりの笑顔で。

別れのとき。
今まで恥ずかしくて言えなかった事もこの仲間になら言える。
この仲間に最後に伝えたい。
そう思った彼女は大きな声で最後に叫んだ。


あのぉ〜・・・今まで、なんかハローの中で、
仲いい人って言うとミキティしか言った事なかったんですけど(笑)
次からは「この6人もぉ〜!!」って言おうと思いまぁ〜す!!


 

THANK YOU!DEAR MY FRIENDS








彼女は昔この学校に居た。
とても仲の良い仲間達に囲まれた学園生活。
その学校を離れて長い月日が経った。
この何年間、彼女は一人きりで頑張ってきた。
それが自分に一番似合ってると思うから。
今年1年、彼女は思い通りにいかない事も多かった。
そんな彼女に先生がある提案をした。
「半年間リフレッシュを兼ねてクラブ活動をしないか?」
彼女は戸惑った。

( ´ Д `)<んぁ?クラブ活動って、歌舞伎町のクラブなの?