5.28.辻希美、加護亜依の出会い




(ビートルズのジョンとポールの出会い)
ジョンはポールよりも2つ年上で、バンド活動を始めたのも先。
高校時代にはクオリーメンというバンドを結成。
そのクオリーメンのライブを15歳のポールが観に行った時が
2人が初めて出会った瞬間で、ポールはジョンのステージ上の姿に圧倒され、
ジョンもライブ後のポールと会話を交わす中、運命を感じたのだという。


(ローリング・ストーンズのミックとキースの出会い)
ミックとキースは同じ歳で元々幼なじみ。
10歳の時にキースが引越ししてしまい、一旦別れることに。
17歳になった時、二人は再び奇跡的に再会する。
ブルース音楽にはまっていたキースが道を歩いていると、
ブルースのレコードを小脇に抱えた男が偶然通りかかり、その男に声をかけた。
その男が幼なじみのミックだったという。
お互いブルースミュージックという共通の興味を持った状態での奇跡的な出会い(再会)。


(ガンズ&ローゼスのアクセルとイジーの出会い)
アクセルとイジーも同じ歳で元々幼なじみ。
イジーが最初にアクセルを見たのは、教室で取っ組み合いのケンカをしていたアクセルが
教師に追い掛けられ逃げていった時のことだという。
その後、アクセルがたまたまピアノを弾いてる姿を目撃したイジーが一緒にバンドを組もうと
声をかけバンドを組むことに。その後、イジーは17歳で単身LAへ。
そのLAで再びアクセルと再会しガンズ&ローゼスの前身バンドである「Hollywood Rose」を
結成することになる。


出会うべくして出会った2人。
運命の二人にはそれなりの出会いのドラマがある。
我々は2人の出会いのドラマを後から資料などにより知ることはできても
その瞬間に立ち会うことは中々できるものではない。
しかし我々は「奇跡の2人組」と呼ばれるあの2人の出会いの瞬間に
ブラウン管を通してだが立ち会うことができたのだ。
その貴重な瞬間に立ち会った1人として、当時の事実を後世に残すために
ここに記しておこうと思う。




W・辻希美、加護亜依の出会い





2000年3月24日。
この日が加護ちゃんと辻ちゃんが初めて顔を会わすこととなった日である。
生まれた時から常に一緒であったかのような錯覚を覚える2人であるが、
お互いの存在を知らなかった時期の2人の姿を、私たちは目撃していたという事実、
今となっては不思議な感覚だ。
加護ちゃんの事を知らない辻ちゃん、辻ちゃんの事を知らない加護ちゃん。

25000人の中から選ばれた10人がこの日合宿の説明を受けるために召集された。
説明を受ける部屋に一人づつ入室してくるシーン。
加護ちゃんは3番目に入室してくる。梨華ちゃんは一番目に入室していたので
加護ちゃんが一番最初に顔を会わした娘。メンバーは梨華ちゃんという事になる。
次々と女の子が入室してくるが、扉が開く瞬間に人一倍そちらを覗き込んでいたのが
加護ちゃんであった。自分よりも明らかに年上の子ばかり入ってくる状況の中、
自分と同年齢の子はいないのだろうか?との気持ちがあったのではないだろうか。

 

10人のうち一番最後に入室して来たのが辻ちゃん。
一目で自分と同年齢なのが分かるその辻ちゃんの姿を見た時に、
加護ちゃんはどう感じたのだろうか。
この子が自分にとってかけがえのないパートナーとなるとはこの時思いもしなかったであろうが、
何か運命的なものを瞬時に感じ取っていたかもしれない。
素っ気無いスタジオの一室、ここが加護ちゃんと辻ちゃんが初めて出会った運命の場所である。


TV放送では、この後合宿についての説明が行われる場面までが放送されているが、
おそらくこの説明の後に、2人にとって初めての会話が交わされたことは容易に想像できる。
2人が初めて同じ画面に映った映像が10人で説明を聞いてるこのシーンであるが、
2人の間にはまだ6人分の距離がある。だが、世界を揺るがす世紀のツーショットが誕生するまで
そう時間はかからなかった。



2日後の3月26日、合宿に向かうために10人は再び集結する。
新幹線に乗ってやって来た加護ちゃん、少し眠たそうな顔をして登場する辻ちゃん。
合宿直前の心境を聞かれ、加護ちゃんは「大変だけど、それを乗り越えないと
モーニング娘。になれないじゃないですかぁ。」と笑顔で答える。
辻ちゃんは「あんま寝てないから、ちょっと不安です。」と寝むたそうに答える。
非常に対照的な2人の姿が垣間見れる場面。
そしてこの直後、世紀のツーショト、初の「辻加護」の姿を我々は目撃することになる。
合宿所であるお寺に向かうバスに乗り込むシーン。
バスに乗り込むと2人は運命に導かれるように隣同士の席に座っていた。



お互いに顔を見合わせ、口に手をやり笑っている姿。
「辻加護」「あいのの」「W」が初めて誕生した瞬間。
そこにはすでに笑顔に包まれた幸せな空間ができあがっている。
我々がこの後何度も目にする事になるあの幸せな光景、
その最初の第一歩はこのバスのワンシーンであった。



お寺に到着し部屋に入っていくまで、常に2人は一緒である。
選抜メンバー10人の合宿ではあるが、すでに10人の中でこの2人だけは
異質な存在であることが視聴者には伝わっていた。
しかし、徐々にこの運命の2人にも心の中で葛藤が始まることになる。



合宿中、何をするにも一緒の2人。常に行動を共にする。
この合宿はモーニング娘。に入るたるの試練の場であり、10人の中で合格できるのは
たったの3人だけ。2人揃ってモーニング娘。に入れる保障はこの時点ではまったくない。
正真正銘2人は最大のライバルであった。
10人の中で唯一同じ歳ではあるが、お互いにこの子には負けられないとの気持ちが
あったのは間違いないであろう。
合宿中のインタビューで2人はお互いの存在についてこう語っている。


おんなじ歳だし、上の歳の子だったら
「12歳って小っちゃいね」って差つけられるからいらんから、
一緒やったら、ちょうど同じ歳やし、ライバルやし、
負けたくないなぁと思って。

※テロップで出た説明
(行動を共にする事で)自分にプレッシャーを・・・。



アセリまくってる。
同じペースで進んじゃってる。
外で練習しに行こうとしたんだけど、
その時に一緒にいて、どこでも練習が一緒でしょ、
だからペースが一緒なの。だからヤバイ。
加護さんが・・・来る、練習してると来るから・・・。



モーニング娘。加入後(8月頃)のインタビューでは、


なんでだろ、なんかわかんないんですけど、
一緒にいちゃダメだなって思った。

自分はライバル意識が凄く多くて、
負けたくないって思って、
一緒にいちゃダメだと思ったと思う。





追いつきたくって、練習いっぱいしたかったんです。
けど、一緒に居ると喋ったりしてできなくなっちゃって、
だから一人で練習したかった。





一見、同じ歳の仲良し2人組に見えるが、すでにお互いをライバルと見据えている。
特に加護ちゃんにその意識が強かったようだ。辻ちゃんは、自身が合格するために
他の9人に負けないように個人練習がしたいといった気持ちが強かったようである。
課題曲「赤い日記帳」の冒頭の英語セリフ部分を暗記しなければいけない事と、
このダンスを覚える事の2つのハードルは辻ちゃんにとって相当なプレッシャーであったハズだ。
加護ちゃんは加入後のインタビューで「一緒にいちゃダメだ」と発言はしているものの、
実際は辻ちゃんと一緒に練習したいとの気持ちが強かったのではないかと思われる。
一人で黙々と勉強するよりも友達一緒に勉強したいタイプなのかもしれない。
放送で流れた2人の練習シーンでもその事が垣間見れた。

(加護ちゃん)
こうじゃなく、こう。(一緒に踊りながら)

(辻ちゃん)
(無言でダンス)

(加護ちゃん)
難しいけどね。





ふいに練習をストップさせる辻ちゃん。
スタッフに向かって一言。
「あっち使ってもいいですか?」








加護ちゃんと離れ、別の場所に練習に向かう辻ちゃん。
その辻ちゃんを見て、「なんや行ってまうんかい」みたいな顔をし、
奥で話をしている梨華ちゃん達の方へ歩いていく加護ちゃん。




本人達も後に語っているが、似ているようでまったく性格の違う2人。
容姿や年齢で似たもの同士として扱われる事の多かった2人だが、
合宿の時点で性格の違いがハッキリと分かる。
同じ歳で気が合う2人、でも性格や考え方はまったく違う2人、
そしてモーニング娘。の座をかけた最大のライバルである2人。
普通の仲良し2人組とは違う、特殊な関係でスタートした2人だからこそ
他に類を見ない魅力的な組み合わせになったのであろう。

娘。になってからもWになってからもこの関係は続いていく。
いつもベタベタしているわけではないが、お互いの事は誰よりも分かっている。
ダウンタウンの松本・浜田の関係と比較される事もあるが、
最大の理解者でありながら、お互いのプライベートに関しては
ほとんど関知してない点などは共通するものがあると思う。
出会ってから6年経った今も、お互いの部屋には行ったことがないという話は
そんな2人の関係を良く表したエピソードの1つだろう。


(2004年放送「よろしく!センパイ」より)
なんて言うんですかねぇー、
まったく違う性格なんですよ、のんとあいぼんって。
だから、それであいぼんがこうしてるから
のんもこうしなけゃとか、ライバル心とかもあって。
それでだんだん、2人ともたぶん負けず嫌いで、
あいぼんがもし、このダンスができたから
自分もできないとって思う。




1人が上がったりするのがすごい嫌なんですよ、
こうゆうリレーみたいなのが2人の中ではたぶんありますね。
結構。







のんがここまで出来るんだったら
私もきっと(ここまで)出来るって思うから、
そうゆうのがスゴイいっぱいあったと思いますね。







運命の出会いから6年、常に共に歩いて来た2人。
今、辻ちゃんの隣に加護ちゃんは居ない。2人が出会ってから初めてのこと。
ライブ会場やTVでは今まで以上に活躍し続ける辻ちゃん。
いつか必ず訪れるその日のために、辻ちゃんがその場を守り抜いてくれていると
私は勝手に解釈している。
辻ちゃんの気持ちは誰にも分からないが、6年間誰よりも加護ちゃんの事を見てきたのは
辻ちゃんだし、加護ちゃんの事を一番理解しているのも辻ちゃんだと信じてる。
辻ちゃんが今背負っているもの、とても辛いことがたくさんあると思う。
それを背負い込みながら笑顔で頑張っている辻ちゃん。
今、私が辻ちゃんに伝えたい言葉はただ一つ・・・「ありがとう!」。

もうすぐ6月17日がやってくる。辻ちゃんの19歳の誕生日。
去年の6月17日、ステージ上で加護ちゃんはこう言った。
「1年後もさぁ、19歳の時もこうやって祝えるようにさぁ、18歳も凄いいい青春しようよ!」
今年の6月17日、あの言葉通りに加護ちゃんが同じステージで
辻ちゃんをお祝いすることはできない。
去年あの幸せな空間に参加させてもらい、次の誕生日を一緒にお祝いすると約束した者として、
精一杯のお祝いの気持ちと感謝の気持ちを込めて岐阜の聖誕祭に参加したいと思う。
来年の誕生日にはまた必ず2人で並んでお祝いしている姿を見れる事を願って。



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