2008.7.01.


真野恵里菜お披露目握手会イベント(6/29)品川ステラボール


数々のアイドルを輩出し続けてハロプロは約10年になる。
10年間も続けていれば、良くも悪くもパターン可するもので、
新しい曲やユニットが出来ても、以前聞いた曲に雰囲気が似ていたり、
すでに存在しているユニットにどこか似ていたり、誰しもが想像しうる過去のハロプロの枠内に
収まってしまう事が多い。
すでにアイドルとしてのパターンは出尽くした感もあり、ハロプロには斬新な物を求めるのではなく、
安心して楽しめるいわゆるハロプロ的な物を求めるのが正しい楽しみ方だと感じていた。


2002年に藤本美貴がソロデビューして以来、6年ぶりにソロとしてデビューする真野恵里菜。
一番最初にこの話を聞いた時、ソロとしてデビューする事への喜びよりも、不安の方が大きかった。
すでに出来上がってる「ハロプロパターン」の中に真野ちゃんソロの姿を当てはめた時、
明らかに弱いと感じたから。あやや、ミキティ、ごっちん、なっち等過去の先輩達のスタイルを
自然と頭の中で真野ちゃんに当てはめ、自分の中で勝手に答えを導き出していた。
そんな中、突如発表された「ピアノ弾き語り」。
まったく想像もしていなかったパターンを提示され、不安は一気に期待へと逆転した。
真野ちゃんがピアノを弾きながら歌う姿。ハッキリとその絵は想像できる。
見たい!今すぐにその姿を見たい!と己の魂が叫ぶのと同時に、
歌えるのか?大丈夫なの?といった親心的な心配も湧き上がっていたのも事実。




6月29日、この日は美勇伝が活動停止する日でもある。
予定調和の中で繰り広げられる今のハロプロの中で唯一アナーキーな存在であった美勇伝。
その美勇伝が活動停止する日に真野ちゃんが初お披露目されるのはとても感慨深いものがある。

   

お披露目イベントは今ハロプロを支えている2つのユニットのリーダーとキャプテンが司会を務める。
トークの進行は清水キャプテン。矢島リーダーはかき回し担当であった。
同じ年齢でありながら芸能界の先輩である2人とのトークを非常にそつなくこなしていた。
初のソロイベントだと言うのに緊張している様子はあまり出ておらず、実に堂々としている。
赤ちゃんの時の写真から順に真野ちゃんの歴史を辿って行くヒストリーのコーナーでは、
真野ちゃんのハロプロに対する想い、情熱が語られた。

モーニング娘。文化祭で初めて生のステージを見て、先輩達の姿に魅了されハロプロ入りを決意。
エッグオーディションに応募するものの「残念なお知らせ」が来てしまい涙を呑んだ。
しかし、それでへこたれることなく再びオーディションに立ち向かい、無事ハロプロ入りを果たす事に。
アイドルになりたいのではなく歌手になりたいのでもない。真野ちゃんはハロプロに入りたかった。
今の時代にこう思ってくれる子が居た事、それも真野ちゃんのようなかわいい子が。
まだまだ日本も捨てたもんじゃないなと強く感じる事ができた。


 

子供の頃やってた事があるバトンを披露する場面もあり、器用な一面を見せてくれた。
「なんでもできるんだねー(棒読み)」と舞美がコメント。
この舞美さん、イベント中のトークを全部持っていってしまう。
真野ちゃんが何か言った後に、かならず面白コメントを付け加えるので笑いは全部彼女のもの。

真野<子供の頃、洗濯かごに入るのが好きだった
矢島<いっしょ~!洗濯かごに入りながらTVとか見るよねぇー
※なにかにつけ「私も一緒!」と被せてくる。

真野<中学2年の時に生徒会の副会長…じゃなくて副議長になったんですけど
矢島<副議長もかっこいい
真野<3年では副会長になりました
矢島<どっちも「副」みたいなw
※失礼極まりないw


真野恵里菜イベントという名の矢島舞美お笑いトークショーも終盤を迎え、
遂に「マノピアノ」初披露の時が来た。
ステージど真ん中に電子ピアノがセッティングされ、そこに真野ちゃんが座る。
司会の2人が「私達も弾けるんですけどね」と言ったので、観客がコールして弾かせようとする。
舞美は「あまりイベントが押すと美勇伝のコンサートに間に合わないので」とやんわりと断る。
「しばらく弾いてないと忘れちゃうよね。佐紀もそうでしょ?」と舞美。
「いや、私はまだ一応弾ける。」とキャプテンが答えたので、再び佐紀ちゃんコールが起こる。
すると、






「そろそろよろしいでしょうか?」





とピアノを前に準備万端の真野ちゃんがコールを遮った。
私が主役ですけどよろしくて?と笑顔で遮った姿はとても新人とは思えない肝っ玉の据わりよう。

まずは試し弾きとして「エンターテイナー」を弾き出すが音がはずれてしまう。
再び弾くも、また音を外す。
普通ならばここは完璧に決める所だが、真野ちゃんの辞書に予定調和という文字はないようだ。
これからピアノ弾き語りをするという人がここまでアレなピアノを演奏するとか、予測不能。
続けて「渚のアデリーヌ」を弾くが、大きなミスは無いものの上手いとは言い難いレベル。
「おいおい大丈夫なのか!」おそらく会場中の誰しもがこの演奏を聞いてそう感じたハズである。
しかし、彼女は笑顔で余裕の表情。


「マノピアノ」初披露。
イントロ部分からオケに合わせてきちんとピアノを弾く。
たどたどしい感じはするが、直前にアレなピアノを聞かされてるだけに、
おっ!上手いじゃん!と思えてくる。これぞマノマジック!





レースの カーテン 開いて
そっと 水を あげたの






と一本調子で歌い始める真野ちゃん。
人は自分の予想を超越する物が目の前に現れた時、身動きができなくなるものだが、
まさにこの瞬間、会場中が「マノピアノ」によって動きを止められた。






花びら しとしと 
でも 私の こころ カラカラ





なんだろ?この感覚。
別段素晴らしい歌声でもなく、ソウルフルな歌い方でもない。
かといって下手なのかと言えば、一概にそうとも言えない。
今までのハロプロで聞いたことのない歌であり、新時代の幕開けに相応しい音色である。




ねぇ あいたいよ あいたいよ あいたいよ
そう 今すぐ あなたに




1回聞いただけでハッキリと耳に残るメロディ。
徐々に体が「あいたいよ」に洗脳されていく。
ピアノを弾きながらも、きちんと観客を見て歌う真野ちゃん。
前を向いて「あいたいよーあいたいよー」と一本調子でやさしく歌ってる姿。

例えるなら、自分の子供が初めて言葉を発した時の喜び。
一生懸命、こちらに向かって何かを語りかけようとする姿。
歌を歌うことは楽しくて気持ちの良い事なんだという原点。
「マノピアノ」にはその原点が溢れている。
テクニックなんてイラネぇーんだと、私のソウルはハートで感じろ!と。

ハロープロジェクトという枠組みの中で、新たに生まれた「マノピアノ」。
誰しもが予想していた範疇の中に納まる事のない、とても不思議な曲。
ハロプロの中に誕生した新たなるオルタネイティヴロックそれが「マノピアノ」だ。
今後どうなって行くのかまったく予想付かないこのドキドキ感。
再びこんなドキドキ感がハロプロで味わえるなんて素晴らしいことではないか!
おらワクワクしてきたぞぉー!!


ちなみに握手の時に「ガッタスは辞めちゃったの?」と聞いたら、
「辞めてませんよ!」と笑顔で語ってくれたことも一応報告しておく。

 


 「マノピアノ」ライブバージョン



by・ピストル