2008.2.27.


桜の花びらたち2008 PV


今週は「℃-ute/LALALA」「アイドリング!!!/だいじなもの」と色々とリリースされたが、
AKB48の「桜の花びらたち2008」が個人的に群を抜いてる。
楽曲はデビュー曲の焼き直しだしチームBの2nd公演でも散々聞いたからどうって事もないけど、
付属のPVが素晴らしい。心鷲づかみ状態。
(「桜の花びらたち」30秒CM)

発売前にCMで流れてた映像を見て期待はしてたけど、ここまで素晴らしい作品とは驚いた。
「尾道三部作」等で有名な日本屈指のロリコン監督・大林宣彦の作品にも通じる匂いもあり、
おっさん世代にはたまらない作品となっている。いや、おっさんだけに限らないだろう。
このPVに描かれている世界こそが世の男性が生涯夢見続ける女子高生の姿だ。
こうあって欲しい、こうなんだろうなぁ、素敵だな、こんな高校の先生になりたいな、妄想は膨らむ。

10分に及ぶドラマ仕立ての大作、楽曲自体は5分だが曲前と曲間にドラマを挟み込み、
短編映画のような作りとなっている。
舞台はある女子高の卒業式。一緒に青春を過ごした仲良し5人組が旅立っていく姿を、
切ない心模様を上手く織り交ぜ、見事な胸きゅん作品として描ききっている。

女子高の卒業式、制服、短いスカート、紺ソク、スカートをひらひらさせながら廊下を走る、
友達への淡い想い、年上の教師への恋心、美術室でのデッサン、
パンを口にくわえながら走って登校、ちょっと背伸びしたキス、涙を流す姿・・・などなど。
世の男性が胸躍るこの重要なキーワードをふんだんに散りばめてあり、
否が応でもこの世界に引き込まれてしまう仕掛けがされている。

監督は高橋栄樹氏。THE YELLOW MONKEYの中期から後期のPVを手掛けていた監督で、
AKBでは「軽蔑していた愛情」「夕陽を見ているか?」に続き3作目。
日常の普通の風景を美しい映像の中に上手く描ききれる監督と言えるだろう。
大袈裟なシチュエーションではなく、どこにでもある普通の日常なんだけど、
とても新鮮であり懐かしくもある。

収録されているメイキングを見てわかったのだが、卒業式のシーンにリアル感を出すために
監督はある仕掛けをしている。
答辞を読み上げる峯岸みなみに、台本にはない手紙をアドリブで読ませたのだ。
そこには彼女達がAKBに加入してから今までの辛かった事などが綴られており、
それを突然聞かされた他のメンバーは涙を流したり、切ない表情をし始める。
監督がいかに本気で作品を作っているのかが分かるシーンでもあった。

そしてこの作品で一番特筆すべき事は主役を演じる大島優子の演技力であろう。
「いじめ」「自殺」といった重い題材で作られた「軽蔑していた愛情」のPVでも
その演技力は評判となったようであるが、今回もいくつもの素晴らしい表情を見せてくれる。
セリフが無くとも表情のみで演じる事ができ、もっと言えば目の動き、輝き、潤いで表現してる。
監督も彼女の演技力に惚れ込み、魅了され、重要な役に抜擢しているのだろう。
大島優子という人には元々そこまで興味の無かった私でも、作品の中で輝く彼女の姿や、
ステージで見る彼女の存在感に魅了され、今ではかなり惹かれるメンバーの1人となった。

「桜の花びらたち2008」がアイドルPVという世界で新たな金字塔となったのは間違いなく、
今後もAKBの魅力を活かしきった高橋監督の作品作りに期待したい。

桜の花びらたち2008 PV




 ハロプロとAKB48

リアルな女子高生。
これはハロプロがあえて手を付けてこなかったジャンルとも言える。
ハロプロは極力リアルな世界を描くのを避け、夢の世界、ファンタジーなアイドルを
作ろうとしていたような気がする。その世界を作り上げるのは非常に難しいし、
他のアイドルがそれを目指そうとしても至難の業だ。

リアルな女子高生と言えば恋もするし、キスもする。
ハロプロは歌の中ではリアルな世界を歌う事はあっても、メンバーからそのリアル感は
出さないように心がけている。
「好きな男性のタイプは?」という質問に平気で答えられるのがAKBで、
極力その手の話題には触れさせたくないというのがハロプロ。
AKBだと「ファーストキスはいつ?」ぐらいの質問までなら普通にOKだろう。

中学生メンバーのラブたんこと多田愛佳がランク王国での質問で
「仕事と恋愛の両立はできますか?」と聞かれ「出来ます」と即答し、
「彼氏の気持ちが自分の支えになりそうだから」
「ここ何年か全然恋をした事が無いので、恋愛心を忘れているのですけど」と答えるほどだ。
AKBやアイドリング内では、ハロプロに今でも憧れてるメンバーはたくさん居る。
それは自分達と同じアイドルというくくりではあるけど、ハロプロが持つファンタジー感に
やはり惹かれるからではないだろうか。


日本最大の女子アイドル王国を作るためにはハロの方法論は正しいだろうし、
それがゆえにここまで大きな存在と成り得たと言える。
ただ、リアルな等身大の姿を売りとするアイドルというのも、欲している層は居る。
AKBはそこにターゲットを絞って攻めているように思える。
「会いに行けるアイドル」という看板を背負っている時点で雲の上の存在ではなく、
身近な存在を目指しているのは明らかであるし、その路線を変更した時点で
AKBが持っている魅力は半減するだろう。
AKBが醸し出す「リアル感」が現実の女子高生のリアルなのかはわからない。
あくまでも男側が想像するリアルであり、リアルっぽく演じてるのかもしれない。

AKBがリアルなJK、JC感を売りにし、アイドリング!!!がバラエティアイドルを売りにしてる中、
王者ハロプロはどうするべきか。同じ土俵に上がったら終わりだ。
ハロプロが王者で有り得た多幸感溢れる圧倒的なあの世界を守り続けるしかないだろう。
幻想の世界を壊すような自体がここ数年続いてしまったが、再度その世界を築きあげるために
関わっているスタッフが全力で本気でメンバー達をバックアップする事が重要だと思う。
PVを撮るにしてもイベントをやるにしてもこれぞハロプロだ!という他と圧倒的な違いを
見せつけてくれないと困る。今は絶対手抜きはダメ。
今一度それを見せ付けるために、採算度外視で大金を投じるてでもやるべき。
壊れかけているイメージを取り返すためには新たにイメージを作り上げていかないと。
それができなければ、徐々に王国は傾きかけていくと思う。
AKBは紅白に出たら浮かれられるけど、ハロプロは紅白に出る事が必然だし当然なのだから。
ぜひ何事に置いても圧倒的であって欲しい。それだけのメンバーは揃ってるハズだから。





という事で長くなりましたが、今日は今年のサマソニに出演決定したSex Pistolsを。
太ったおっさんになっちゃったJロットン率いるSex Pistolsで「Pretty Vacant」。
「Sex Pistols/Pretty Vacant」


by・ピストル